尺八奏者のためのNose Flute（鼻笛）

尺八との比較

練習法・テクニックなどいろいろ（順不同で）

• 初めて吹く前に、口を開けた状態で、喉を軽く閉めて鼻のみで息を吐くことができるようにする。息を吸う時には口も使います。
• 息は、鼻からのみ出して、口からは出しません。
• 開いた口を（息が当たる）エッジ付近に近づけないと全く音が出ません。
• エッジの穴の上に上唇をあて、穴の下に下唇をあてます。上唇は、エッジを覆ってはいけません。エッジよりも上側でとどめます。鏡で上唇が鼻笛のスリット部分から見えていないかどうか確認するのもいいでしょう。下唇の位置は、穴より下ならば自由に移動でき、音程や音色により調節します。唇の横側は、鼻笛から離れていて構いません。口全体に押しつけすぎて、鳴らず、身動きが取れなくなっているケースもあります。
• 逆に、笛から唇をかなり離していてもよく鳴らすことができます。
• 音を切るには、喉を使い、鼻息を断続的にします。タンギングは使用できません。(中)指で音を切る方法は大変有効です。（後述）
　（タンギングをすると、ピヨピヨ等の特殊効果音となってしまいます。高音部では、ある程度可能です。）
• ビブラートは、息揺り、舌揺り、頬揺り、顎揺り、鼻笛を揺る、叩くなどいろいろと考えられますが、鼻息で揺るのが基本です。
  　パターンは、基準の音程から、上へ、下へ、上下へ、速度、速度の変化など、他の管楽器と同じです。
  　尺八のような首ふりのビブラートはできないので、息揺りをマスターするのにも役立ちます。
• 音程を変えるには、口の容積を変えます。
• 最低音を出すためには、喉の奥まで広げて、口腔を最大にします。
• 高音を出すためには、上下の歯の間隔を狭め、舌を前に出して容積を小さくして行きます。
  　"イー"の発音のように下唇を下に引いた形でも高音を出すことができます。
• 音程を少しだけ上下させるには、
  　口全体の大小
  　舌の奥側の出し入れ
  　舌の先端付近の出し入れ
  　舌の中央部分の出し入れ
  　舌は動かさず口を横に開く
  　"イー"の形で下唇を下に引きながら口を開閉
  など、多数の方法が考えられます。フレーズや音色によって使い分けるべきでしょう。
• 音の移動時には、音を喉で切る場合も切らない場合も。できるだけ素速く移動できるように口の動かし方を訓練する。
  旋律は、軽快に吹けるように。特に大きく音程を飛んだときに正確に着地できるように。
• 口内の形を素早く調整する必要があり、響きを得るために同じ音程でも異なる形を併用することもあります。そのため、口の中の筋肉が必要となります。筋肉の養成には、日々の練習とある程度の期間がかかります。長めの音の跳躍する曲などは、口腔体操としても効果大です。
• 基本は、正確な音程で鳴らす。響きを大きくする。ビブラートなしでロングトーン、小さい音を正確に長く等、尺八や他の管楽器と同様。
• 自分の音を客観的に聴く。録音して聞く。これも尺八と同様。
• 鼻との隙間には、最も注意を要します。特に高音時には、力が入つて隙間ができやすくなります。隙間が開いていることに気付きにくいので鏡で確認しましょう。音が出ていてもある程度息が無駄になっている場合があります。
• 運指練習でなく、運口練習。　CD、テレビ、ラジオ等、何でも一緒に吹いて練習できるのが大きな魅力。
• 風邪や花粉症、鼻炎等で鼻が詰まると、吹けなくなります。片側が通っていればどうにか吹けます。
• 鼻なので息の量のコントロールが難しい。特に高い音を小さい音で吹くのは難しい。
• 鼻笛は、最も習得が容易な楽器の一つでしょう。
• 宴会芸に最適。尺八だけでも十分ですが、さらにもう一芸で万全？
• 小型軽量、持ち運びが楽です。
• オカリナとも近いですが、口笛より高機能な面もあります。（口笛は、一般に演奏者の層もレベルも鼻笛より上です。）
• 音域を口笛と比べると、低音域は鼻笛の方が上回り(特にBocarinaの場合)、高音域は口笛の方が上回ります。口笛は、唇を小さく閉じる必要があり、逆に鼻笛はある程度以上開けておかなければならないため、鼻笛は、口腔容積が大きめとなり、音程が低めとなると考えられます。
• モスリンさんのCDに合わせて吹いて練習． (iTunesでも購入可)ぴったり合ってモスリンさんの音が聞こえなくなればOK.
• 合唱と同様な感覚で合奏することができます。
• 運指がないので（直前に確認しておかないと）曲の吹き始めを正確な音程で鳴らすのが難しい。
• 子供は、４才頃から鼻からのみ息を出すということができるようになるそうなので、これ以上の子供ならば演奏可能だと思われます。
• 音の上下では、上げる方がやさしく、下げる方が難しいので、音程をさげて行くフレーズのときにしっかりと音程を決めるように気をつける必要があります。口を閉める動作は、噛むためであり強く素早く行うことができます。そのため閉める動作のための筋肉は、たくさんあります。一方、開く動作は、次に噛むためのものであり、強い必要はなく、素早さも要求されないため筋肉も訓練されておらず、発達もしていません。鼻笛では閉じる動作と開く動作は、両者とも同等に正確に素早く行う必要があるので、開く動作をより重点的に練習する必要があります。素早く正確な音程に到達するには、口の中を瞬時に動かすために筋肉を緊張させる必要があります。そのための筋肉が強化されるのは、尺八での唇回りの筋肉の発達に時間がかかるのと同じであり、また、スポーツでの手足・腹筋・背筋などの発達と同じです。（月単位以上で変化が自覚できる程度）
• 口笛の演奏の多くは、鼻笛よりもレベルが上であり、いろいろと参考になります。
• 正確な音程で吹くための練習には、iPhone, iPad, Android等のピアノアプリを片手で弾いて音程を確認しながら吹くのが有効です。
  
• （楽器というからには）１オクターブの１２音を全て正確に出せるようになる必要があります。
  カラオケで音程のずれた歌を聞かされると迷惑ですが、鼻笛でも同様です。　尺八で音程が合った演奏をすると「ほめられる」ことがありますが、普通の楽器として見られていないという侮辱的な状況を表しているとも言えます。鼻笛は、まだそれ以下です。
• 鼻笛を持たずに、口の中を動かすだけで、正確な音程の楽音を出しているだろうという、エアー鼻笛ができるようになる（旋律を頭に浮かべると自然に口が動く）と、ある程度のレベルに達したと考えられるでしょう。
• 声で歌う場合には、声帯やまわりの空間を調整して音程や音色を変化させます。鼻笛の場合には、口の中から喉までの容積や形状を調整して音程や音色を変化させます。両者の感覚には、かなり近いものがあります。特に、音程が大きく飛ぶようなところで注意して狂わないように合わせるという操作は、似た感覚です。
• 通常は、息で切って音の出だしを決めますが、全ての音を（タンギングと同様に）ブツ切りにするのは、必ずしも適当ではありません。音を切ることなく音程を移動し（ポルタメント）次の音に正確に着地するのは少々難しいので、これができるようになれば、切る、つなげる、の２通りの表現が使えるようになり、表現力が増すことにもつながります。
• 音の出だしをはっきりさせたり、音をはっきりと切るには、鼻や喉で息を切るのではなく、腹筋（横隔膜付近）で切るのが効果的です。
• 非常に高い音を出す場合には、鼻を膨らませて鼻の容積を大きくして、お腹から息を出すと、容易にコントロールできます。
• 非常に低い音を出す場合(D4〜A4付近)には、（口から入ってくる鼻息の圧力も利用して）喉の奥までを広げます。このとき顎は前に出し気味で顔も上向きに近くなります。喉の広げ方で音程をコントロールすることになりますので、通常の音域よりも音程を決めるのが難しくなります。
  現在の私の実用音域はE4〜G7、利用可能な音域はD4〜A7程度です。(Bocarinaにて)
• 全部の音を息で切ってしまい、フレーズになっていない人が多数います。歌声は滑らかにフレージングしているものです。そのため音を切らないで滑らかに続ける練習も重要です。極端な例として、全く切らずに吹くと、テルミンのような音となります。正確な音程のテルミン風ができれば、音を切った場合の正確さも上がります。
• 鼻笛では、息で音を切りスピードの速いフレーズを吹くことは困難です。（あらゆる管楽器、口笛などは全てタンギングが行え、舌で音を切ることができます。発音部位であるエッジ、リード、唇から舌までの距離は１cm以内であり、迅速に息を断続させることができます。リコーダーとオカリナは２〜３cmと少し長めです。一方、鼻笛の場合、舌は使えず、喉から気道を通って鼻笛のエッジまでの距離は１０cm以上になると考えられます。この体積の圧力が増減するには、かなり時間がかかるため、"鼻で切る(=喉で切る．鼻息は鼻で切ることはできず、喉で切ることしかできません。)" と、音と音の間がブツ切れになってしまい、滑らかに旋律を演奏することは不可能です。特に、人の歌声は連続的に滑らかであるため、鼻で切っていたのでは、歌うようなフレージングは困難です。）モスリンさんはトルコ行進曲で口から出す息で音を切るというテクニックを使っていますが、これも口内の容積分遅れが生じます。口笛で使われているウォーブリングのテクニックにより、素早い音の変化は可能ですが、使用できる音程変化が限定されます。
  一方、笛を動かしたりエッジの外側を指で横切らせる等により、息の流れを遮ることによって同様な効果が生まれるというのは以前から知られていました。この方法をBocarinaで片手だけで試してみたところ、楽に効果的に音を切ることができました。（新奏法と言えるかもしれません.）下記のGIFアニメは、Bocarinaの上側を人差し指で、下側を親指で持ち、中指をエッジの前を上下に横切らせているところです。エッジ部分にぴったり当てるか、斜めに弱く当てるか等を変化させることにより、音の切れ方の強弱を調整でき、かなり綺麗に切ることができます。上から下に動かす場合と、下から上に動かした場合でも、音の切れ方が少し異なり、指の当て方や力の入れ方にも依存します。また、人差し指と中指を入れ替えて人差し指を動かすことも可能です。なお、Bocarinaのように笛の上下を指で支えて吹くことができ、エッジ部分が湾曲していて、上下に指を動かせるだけの十分なスペースがある楽器でないと難しいでしょう。(2015.8)
  2015年に富士山頂で吹いた Bohemian Rhapsodyのギターソロの部分等で初めて使用しました。その後「春の海」「Syrinx」「フルート協奏曲２番」「うららインザスカイ」「Bordel 1900」等では必須のテクニックとなりました。
  
Middle finger tonguing, 中指による"フィンガータンギング"
指の当て方、方向、強さなどでいろいろな表現ができるので、この鼻笛演奏法を「フィンガースタイル・ノーズフルート( Fingerstyle Nose Flute)」と名付けました。(2019.8)


• 新奏法の喉フラッター(Throat Flutter)タンギングについて。（音の例はページの冒頭） 鼻笛では、ビブラートは息や笛自体を動かすことによって可能ですが、音色を大きく変えることは困難でした。そこで、より響かせ音色を改善することを念頭に吹いていたところ、低音域で喉が震えてしまうことが時々ありました。そのまま練習を１年以上続けていたところ、振動がある程度持続することがあり、さらに続けていると意図的に持続できるようになってきました。音域も低音から中音域まで可能になりつつあります。この振動を調べてみたところ、フルート等の管楽器では「喉フラッタt−(Throat Flutter)」と言われており、舌を震わせるフラッターとは区別され、特殊奏法として確立したものでした。管楽器では、喉から息が出ていますので、舌や喉を震わせることは容易ですが、鼻笛では喉から息は出しませんので、振動させるのは容易ではありません。口から入ってくる鼻息はごくわずかですので、振動の駆動力にはなっているとは考えられず、口の中での大きな共鳴に伴う振動が駆動力になっていると思われます。舌を振動させるには、非常に大きな力が必要ですが、喉を振動させるには、それよりもだいぶ小さな力でも可能であるので、喉が振動してきたのだと考えられます。口内は大きく広げて、喉の奥をうがいをするように広げておきます。。現状では、最低音から２オクターブ近くの音域でのフラッターが可能です。また、フラッターが始まる寸前の音色は、ある程度歪んだ固い音ですので、この微妙な領域をコントロールして使用できると、さらに音色の幅が広がり、管楽器と同等の表現力に近づけると思われます。また、低音域での響きが特に優れたBocarina以外での練習では習得は不可能だったと思われます。2017年11月頃に習得．半年後だいぶ習熟しましたが、Bocarina以外ではフラッターの振動はカスリもできません。
• 鼻笛の倍音構成について．　鼻笛は、振動部位が口腔であり孔が一つ空いた構造ですので、ヘルムホルツ共鳴の原理で振動が起こります。この場合、基音の次に３倍音が大きいという閉管構造の楽器（クラリネット、オーボエ等）と同様の響き方となり、音色も３倍音の強さに支配されます。しかし、口腔の形状を響きを増すように最適化することにより、基音の次に７倍音や５倍音が大きいという音色を出すことができました。場合によっては偶数次倍音（整数次でなく）を大きくすることも可能でした。（Bocarinaのみ）これらの音色を自在にコントロールできるようになれば、鼻笛を普通の管楽器と同レベルの楽器として演奏できると思われます。これについては、スペクトルを示した別ページを作成する予定です。
• 極低音域を出すには．鼻笛での口の中の共鳴は、ヘルムホルツ共鳴と考えられます。体積V の容器（空洞）から、開口部の断面積S 、首の長さL の細い管が伸びている構造では、固有角振動数ω0 は、と表されます。(Wikipediaのヘルムホルツ共鳴器より)
  この式から、鼻笛の音程となるω0を小さくするには、下記の３つの方法が考えられます。
  　1) Vを大きくする。→　顎を前に出し喉の奥まで広げて口内容積をできるだけ大きくする。
  　2) Sを小さくする。→　唇を大きく開けずに、先をなるべく小さくして、それでも鳴るポジションを見つける。
  　3) Lを大きくする。→　唇付近を丸くとんがらせる。口内容積はちいさくならないように。
  ここで、1)はあたりまえのことですが、2)は、経験的にある程度行っていましたが、意識はしていませんでした。そこで「唇の開口面積を小さくする」を意識的に行ってみたところ最低音をさらに下げることができ、かすかにB3まで鳴らすことができました。2)と同時に3)の効果も得られたと思われますが、1)の口内容積は小さくしてしまわないような注意が必要です。このB3やC4(中央のド)はまだ実用になっていませんが、１年程度訓練するとなんとかなる可能性もあります。もし、C4まで自由に鳴らすことができれば通常のフルート曲の全てに対応でき、B3まで鳴らすことができればH足部管が必要な曲にも対応できるようになり、鼻笛の世界がさらに広がります。
  なお、式中の
  　cは音速なので変えられません。(息の温度や圧力に少し依存)
  　Lには開口端補正が少し加わります。
  　Sを小さくすると開口端補正によりLも小さくなりますが、Sに比べると影響は少めです。
  ＃ 理論式を眺めて、そこから奏法を学ぶというのは初めての経験でしたが、これも楽器としての歴史がなく、先人のいない鼻笛ならではでしょう。
  


Nose Flute Lessons 　スケール練習の例（クリックで拡大）

演奏法　2013.2加筆

演奏例

主な情報源

効能？

楽器の種類

歴史

Humanatoneの簡単な改良

別ページに移行　＜　Humanatoneをテープなどで改造してみた例多数　＞　

最高性能ABSプラスティックNose Flute　お勧め！！

Bocarina　ボカリナ

Deco-Bocarina

尺八のページへ戻る