ドイツで量産されている鼻笛(Nasenflöte)2種を入手して試してみました。2012.3


その1 Schwan Nose Flute とその改良

プラスティック・ノーズフルートのSchwan Nose Fluteを、個人輸入でドイツのThomann社から購入しました。(50個買うと一つ 0.79 EUR。)
直角に2回折れ曲がった形状が特徴的です。
鳴りが、あまり良くないので、観察してみると、エッジの部分が全て斜めになっていました。
全て同じようにエッジが斜めになっていて荒れているので、悪いロットをつかまされたかと思い、Thomannの製品ページの拡大写真を見ると、全く同じように斜めで荒れたエッジをしていました。従って、全てのSchwanが、このような仕上げなのだと思われます。

Thomann社のSchwanの拡大写真

エッジ部分の不具合?を補助線を引いてわかりやすく示した図
 
斜めにガタガタになっているのがわかります。
全体に接着剤もはみ出していて、完成度も低く、Humanatoneと同様にオモチャ扱いな楽器なのであろうと思われます。
ドイツ語のWikipediaのSchwanの画像も同様でした。

楽器としてエッジ部分は、最も重要であり、斜めに欠けている部分が少しはまともになるように、スコッチテープを貼って改良してみました。 Humanatoneの場合には、テープによって低音の響きが悪くなりました。しかしSchwanの場合には、低音への影響も少なく、ウィンドウェイとエッジの距離が短くなった分、高音も鳴らし易くなりました。
テープの部分を大きくしすぎると、高音はより鳴らし易くなりますが、低音が鳴らなくなります。
 

2つの部品の色によって25色以上のバリエーションがあり、大変カラフルです。
左の2つは、エッジ部分にテープを大きくはみ出させ過ぎです。


Schwanは、鼻の下の長さが短い人向けに作られたのだと思われます。私も含め、鼻の下が長めの人にとって、口の位置を合わせると、鼻が合わず、むりやり鼻に押し付けないと隙間ができやすく、口のポジションも大きく制約されるため、吹き心地も操作性も良くありません。

Humanatone同様、Bocarinaを持っていれば必要ない楽器とも言えます。
エッジの横幅を日本の木製の鼻笛と同程度に狭く改造するのも効果がありそうです。




その2 栓抜き鼻笛Thomann Nose Pipe(Nasenpfeife Pfaff)




Thomann Nose Pipe(Nasenpfeife Pfaff)
Schwanと同じくThomann社から購入しました。
厚手の金属(ステンレスと思われる)にはさまれたプラスティック製の鼻笛です。栓抜きとしても使えるように丈夫に作られているため、見た目、質感は十分です。問題点は、全体が薄く、厚さが12mmという形状です。息を入れる孔が、さらに小さく、両端のみ4.5mm、それ以外は2mm、横幅18.5mmと非常に細く小さいため、鳴らし易いとは言えません。鼻の孔のまわりから多くの息が抜けてしまうため息の半分も音になりません。鼻を直接指で押さえて隙間をふさいて吹くならば、十分に息が入りますが、押さえ続けていなければならず、気分も悪く、演奏には適しません。また、唇のあて方にも少々工夫が必要でした。(エッジ部分が、ビンの栓が入る部分の奥にあるため、唇をエッジに近づけ難いため。)
音域は、2オクターブ半位は問題ないようです。高音の鳴りはHumanatoneに大きく勝ります。低音部は、少々劣る〜同等程度だと思われます。吹き辛さを改善できれば、HumanatoneやSchwanよりも実力はありそうです。
エッジ部分がへこんでいるので、指で塞ぐことによって、単音の笛とすることもできます。(下のビデオでも実演)
栓抜きとしての性能には、問題ありませんでした。耐久性も十分だと思われます。
瓶ビールを開けつつ鼻笛を吹くというのは、宴会芸用としては素晴しいアイテムなので、一つは持つておく価値はあるでしょう。鳴らし易ければ、気に入るのですが残念!

鼻の部分にアダプター等をつけると息の吹き込みについては改善できそうなので、試してみる予定です。(Bocarinaを一つ切り刻んで取り付けるという方法も考えられます。)

ヨーロッパで売られている鼻笛の評価でも最低ランクでした。 Assessment of noseflutes(for sale in Europe)

値段は、9.5ユーロ
送料が米国よりも高く5000円程かかりましたので、ある程度の数を買わないと大変高価となってしまいます。


Spielanleitung/Gebrauchsanleitung



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H. Tachibana