旧 MuseScoreで三味線・三絃


MuseScore tablature for Shamisen and Sangen



このサイトは、1994年7月24日に開設しましたが、2025年3月で終了致します。
移転先は未定ですが、決まり次第告知します。

2019.5 新たに
地唄式(家庭式)または、文化譜の音符を五線譜の下に振るプラグインを公開しました。

以下の内容は、2015年頃に公開した三味線用TAB譜の作成法です。





尺八・篠笛ケーナ等での五線譜の音符の下に各楽器の音符や運指を振るプラグインを公開してきましたが、三味線・三絃版はまだ作成していません。MuseScoreは、Ver2からTAB譜を作成する機能が実用的になり、ギターやウクレレのタブ譜と同様に弦を3にして、調弦を変えることによって三味線や三絃にもある程度対応できましたので、以下、確認も不十分で、最適な方法でもないと思われますが、動作しましたのでメモを公開しておきます。

五線譜に並記した、三味線・三絃用タブ譜の作成例
 
TAB譜は、開放絃が0で、ツボ(フレット)ごとに1,2,3,4...と表され、一オクターブが12となります。文化譜のように♯や♭は付きません。

五線譜の下にリンクされた三味線(三絃)用タブ譜を付けます。
タブ譜は、ギターなどでも用いられている左手で押さえるフレットのポジションを示した指使いの楽譜です。三味線本来の楽譜もタブ譜ですが、三味線音楽の種類や流派等により表記法がある程度異なります。ここでは、ギターと同じ、開放弦を0と表しツボ(フレット)の位置を数字で表したタブ譜を作成します。

  1. 新規楽譜作成の[楽器]画面、または、五線譜が作成できていれは、Iキーまたは、[編集]→[楽器]を開きます。
     
    [エスニック楽器]の中に三味線がありましたが、対応したTAB譜の設定がないので使用できません。代わりに4弦のウクレレの設定を改変して使うことにします。(ギター等でも構いません)

    楽器ウィンドウで、左側半分のウィンドウから、[撥弦楽器]→[ウクレレ]を選び、中央のボタンで[追加]し、右半分のウィンドウに表示させてください。
    右側のウィンドウに表示されている ウクレレの [譜表1] の行をクリックして選択してから、
    左側のウィンドウの、 ウクレレ[TAB譜] を選び、中央下部の [リンク譜表の追加] ボタンをクリックしてください。
    右側のウィンドウ内の ウクレレ の下の階層に[譜表1]と[譜表2]が並びます。
    この時点では、まだタブ譜は出来上がっていません。
    もし[OK]とすると、リンクされて2行に並んだ"五線譜"のみが表示されます。
     
    これを表示する必要はありませんが、[OK]してしまった場合には、再度 I キーor 編集→楽器 で上記の画面を開いてください。

  2. 追加された[譜表"2"]の右側の[譜表のタイプ]の[標準]となっているプルダウンメニューから[タブ譜4弦一般]等を選んでください。ここで、簡易/一般/完全 の3種類がありますが、
    ・簡易:タブ譜の数字のみ
    ・一般:タブ譜の下側に旗がつく
    ・完全:タブ譜の数字から旗が伸びる。
    という違いがあります。
    例では、[一般]を選んでいますが、五線譜の下のタブ譜でしたら[簡易]の方が適当かもしれません。
    [OK]とすると、五線譜と下側に4弦のタブ譜が現れます。これらは、上下で連動して、片方に入力するともう片方に音符が現れます。
    五線譜側のト音記号の下に 8 のマークが付いていますが、これはウクレレの音域に合わせた音部記号ですので、パレットから上下に 8 や 15 の付いていないト音記号を、五線譜の最初の小節上にドロップして変更してください。通常のパレットの音部記号でも問題ありませんが、[表示]→[マスターパレット]の方がわかりやすいかもしれません。
     

  3. 次に、弦の数を3本に減らし、調絃を行います。
    タブ譜の上を右クリックして、[譜表のプロパティー]を開いてください。
     
    上方の[譜線]を3にしてください。
    下方の[弦の設定]を開いてください。([弦の数]が見当たらず、[文字列の数] となっている場合は誤訳です。下記の を参照)
    4番目の弦を選択してから[弦の削除]ボタンで削除してください。これで、弦の数が3本になります。
     
    各弦の[ピッチ]をダブルクリックまたは[弦の編集]を使って調絃を設定してください。[開放]はチェックしないでください。
     
    ここでは、調絃を六本の平調子のD4,G4,D5としています。二上りの場合は、D4,A4,D5、三下がりの場合は、D4,G4,C5としてください。四本の平調子ならば、C4,F4,C5です。
    下にある[フレットの番号]は、楽器の音域のフレット数を表していて、これを超える音程はタブ譜ではエラー表示(赤く0)となります。18となっているのは、小さいウクレレの場合なので、必要に応じて大きくして下さい。(24で2クターブとなります。)
    閉じた後下方の[弦の数]が3になっているのを確認してください。

  4. 先の[譜表のプロパティー]内には、[使用可能な音高の範囲]が設定されています。これを外れると、音符に色が付きますので、必要に応じて、広く変更して下さい。

  5. 五線譜、タブ譜のいずれに入力した場合も、他方に反映されます。
    入力モードに入るには、Nキー または 画面左上の[N] または、メニューから[音符]→[音符入力モード]
    タブ譜側での入力は、
    数字の 5 を入力すると5フレットが入力されます。
    音の長さは、Shift+5 で四分音符と指定します。(五線譜上ではShiftがいりません)
    タブ譜上の数字を選択し、上下矢印で、同じ弦でのフレットの増減ができます。
    同、Command上下矢印(WindowsはControl)で、音程を保ったまま、隣の弦に移動できます。
    音程が同じでも糸が異なり運指が適当でない場合には、タブ譜側で修正できます。
    下図では、[タブ譜一般]を選んでいるので、タブ譜の下に旗が付いています。
    右端から2番目の音符は、AとCの音が、同じ弦に割り当てられていて演奏不能なので、赤色表示となっています。
    同様に、右端の音符は、音程範囲がウクレレの設定のままなので18フレットまであり、19フレット目の音程なので赤い0で表示されています。最低音のD4より半音低い音程なので赤0となっています。

    五線譜の表示を小さめにしていますが、五線譜を右クリックして[プロパティーの編集]を開き[小譜表]としています。
    五線譜のカナの音名、タブ譜の下の英語音名は、尺八・篠笛・箏・ケーナいずれかのプラグインを使うことによって入力できます。(下記リンク参照)
    ・五線譜またはタブ譜のどちらかの表示を一時的に隠すことも(機能を探せば)できると思われます。
     
    これを入力したMuseScoreのファイルのサンプル



上記3で、[弦の数]が見当たらず、[文字列の数]となっている場合には、誤訳ですので、正しくするために、
[ヘルプ]→[リソースマネージャー]→[Japanese]のアップデートを適用して、MuseScoreを"再起動"してください。
(MuseScore自体をバージョンアップをするほどでもない各言語の翻訳の訂正などは、ここで行われます。)


MIDIデータから五線譜を作成する機能も優れています。楽譜の刊行されている邦楽曲以外を演奏したい場合には役立つことと思われます。
MuseScore Ver2でMIDIデータから楽譜を作成する手順
MIDIデータからボーカルパートを取り出し、五線譜として、後から三味線のTAB譜を追加できます。(このとき、両者の楽器設定をウクレレにしてから行うと良さそうです。)
MuseScoreでは、ギター用のTAB譜作成ソフト「Guitar Pro」(プロプライエタリ,市販品)のファイルを読み込むことができます。ネット上に多数公開されているこれらのギター用ファイルをMuseScoreを使って三味線用に修正するという活用も考えられます。Gutar Proに近いオープンソースのTuxGuitarを使って三味線用楽譜を作成することも考えられます.
<A HREF="http://www-b.uec.tmu.ac.jp/shakuhachi/TuxGuitar/TuxGuitar_Memo.pdf">TuxGuitarメモ(PDF)


途中での調弦替えに対応できるかどうかの検討はできていません。(ギターでのタブ譜利用者が既に考えていると思われますが.)
スクイやハジキ等の表示は未検討です。(MuseScoreの機能だけでは難しいと思われます.)
入力されたタブ譜に対応した形での三味線・三絃の音符(地唄や長唄の文化譜等)を振るプラグインの作成は可能です。



関連リンク
MuseScoreのマニュアルのタブ譜(英文)
MuseScoreで尺八譜 と篠笛譜
MuseScoreで箏譜
MuseScoreでケーナ
MuseScoreで二胡譜(MuseScore V2未対応)
MuseScore Ver2でMIDIデータから楽譜を作成する手順
親ページに戻る


三味線・三絃はほとんど弾きませんので、間違いや勘違いもあると思われます.
御意見、御指摘、アドバイス等がありましたら、尺八譜のプラグインのページのアンケートフォームからお願いいたします。なるべくこのページに反映させたいと思います。



(C) 2015.6 Hiroshi Tachibana